歯科矯正の相談に来られる患者さんがよく言われることが、
親も歯並びが悪かったんで、僕のもその影響なんですよね~
私も小さい時歯並びが悪くて矯正したんですよ。息子も将来矯正が必要ですよね?
「歯並びが悪い=遺伝」
ほどんどの方はそう思われているのではないでしょうか?
このブログのタイトルで、「歯のヒミツ、治療より予防を」を掲げているのにも関わらず、
「はい、歯並びが悪いのは遺伝です、あきらめましょう」
では、この記事を読んでいただく意味がありません。
この記事ではなぜ歯並びが悪くなるのかの理由と、ご自宅でも簡単にできる、
「将来子供の歯並びが良くなるか悪くなるか簡単にわかる方法」
をお教えします。
それではいきましょう!!!👍
Myofunctional problem (筋機能の問題)
ほとんどの方は、実はもう歯並びが悪い理由をご存じだと思います。
生えてきてはいけないところに歯が生えてきたからです。
なぜこの様なことが起こるかを考えると、
「口・顎が小さかったから」と思われたあなた...
正解です!
「歯が大きすぎるから」と思われたあなたは間違いではないのですが、毎日診察する中で、よく目にする問題ではありません。
口・顎が小さかったから...ここの部分がみなさん遺伝のせいにされるところです。
まず始めに、みなさんに知って頂きたいことは、
「どなたの遺伝子も本来、理想的な成長ができるようにプログラミングされている」
ということです。
これを歯並びで置き換えると、
「遺伝子の邪魔をしなければ、歯並びは良くなる」
ということです。
この邪魔をしているものの正体が
「筋機能の問題」
になります。
もちろん一つ一つの筋肉の名称を知って頂く必要はありませんが、二つの歯並びに影響を及ぼす筋肉、それが舌と顔の筋肉になります。
簡単なおさらいです。
筋機能の問題 👉👉👉 小さな顎 👉👉👉 歯が重なって生えてくる
健康な呼吸の仕方
口を開けて呼吸する、口を閉じて呼吸する(鼻で呼吸する)...
この二つの違いの重要性はほとんど知られておりません。
「どっちでもいいんじゃないの?」って思われるでしょう?
それでは簡単なチェックをしてみましょう。
口を閉じて下さい。
今舌はどこにありますか?
上あごにくっついていますよね?
それでは口を開けてみてください。
どうなりましたか?
上あごにくっついていた舌が下あごにおっこちましたよね?
あなただけ特別で、口を開けても舌は上あごにくっつてるよという人はいません。
なぜこのことが歯並びに影響を及ぼすのでしょう?
成長盛んな子供の話をします。
口を閉じて寝ている子供は、いつも舌が上あごにくっつき、上あごの成長を促進しています。
言い換えれば、舌が上あごを押すことによって、理想的な成長を促していると言えます。
ここで先ほどの筋機能のお話につながってきます。そう、舌は筋肉なのです!
それでは、口を開けて毎日寝ている子供はどうでしょうか?
舌が上あごを押していないので、成長の手助けになっていません。
左の画像は口を開けて寝ている子供の上あご(まだ乳歯・子供の歯が残っています)、右の画像は口を閉じて寝ている子供の上あごです(乳歯は残っていません)。
画像を詳しく分析しなくても、左の上あごのサイズだと、大人の歯がきちんとしたところに生えてこないのがわかりますよね。
注目していただきたいのは、上あごの幅です。
「そもそも左の上あごの形で、例えば今日から口を閉じて寝始めたとしても手遅れ?」
と思われたあなた!
その通りです!!!
この様な狭い上あごだと、舌が休憩できる場所がないので、この状態を放置しておいても(遺伝子だけに頼っても)、右の画像のようになることはありません。
まとめ
顎のサイズは舌の位置だけで決まるものでもありません。
ただ、お子さんの診察をする際に顎の成長が理想的ではないことに気付くときは、いつもご両親に
「夜寝ている時、口を開けて寝ていますか?」
と聞きます。すると高い確率で、
「そう言われれば、よく口を開けて寝ています」
や、
「よくいびきをかいて寝ています」
という返事をされます。
早速今日からチェックしていただきたいことが二つあります。
1)夜、口を開けて寝ているか、
それとも口を閉じて寝ているか。
2)4歳ぐらいまでの子供の歯はすべて乳歯です。
その前歯の間に「隙間」があるか
前歯の永久歯(大人の歯)は乳歯(子供の歯)に比べてサイズが一回 り大きくなります。
顎がきちんと成長していれば、必ず前歯の間に隙間が生じ始め、永久歯が生えてくる場所を確保していることになります。
そのため、「B」の歯並びが理想と言えます。
気になられる点がありましたら、ぜひ歯科医の方と相談してくださいね。
次回の記事では、なぜ口を開けて寝るかの理由について詳しく説明します。乞うご期待!