下の記事では鼻づまりの原因について説明しましたが、今回は
「口から吸い込む空気と、鼻から吸い込む空気、どちらの方が高級か」
を説明します。
【歯並びが悪いなら耳鼻科の先生とも相談!】歯並びを悪くする最大の原因、「口呼吸」になる4つの理由!
理想の矯正歯科医は必ず耳鼻科の先生と良い関係を築かれています。それはなぜか?歯並びが悪い大きな原因が鼻づまりからくる口呼吸だからです。口呼吸になる「厳選した4つの原因」をこの記事で詳しく解説します。
料理の盛り付けが得意ではない方がよく、
「体に入ったらいっしょ!」
って言いますよね?
見た目は悪くても、味・栄養素は同じということです。
残念ながら、料理と空気をいっしょにすることはできません。
結論から言います。
鼻から吸い込まれる空気のほうが遥かに高級です!!!
それよりも口から吸い込まれる空気と比べたら、鼻から吸い込まれる空気に失礼です!というぐらい高級です。
それはなぜなのか...。
なぜ歯科医の僕が空気のお話をしないといけないのか...。
この記事を読み終えた後、あなたはもう口で呼吸しなくなりますよ(笑)。
ただそうすることが、今まで何度も説明した歯並びが悪くなるのを予防する一番の方法なのですから。
肺が好む空気
「口と鼻から入ってくる空気は同じ」と肺は思っていません!
これは一体どういうことなんでしょう?
肺が好む空気の特徴として、
- 清潔
- 適度な量
- 適度な湿度
- 適度な温度
などがあげられます。
空気中には小さなゴミや細菌・ウィルスが含まれています。
鼻の中の毛や粘膜はそれらを取り除き、肺を守る働きをしています。
あと、外気をできるだけ体温に近い温度にする、乾いた空気を加湿するというのも鼻呼吸の利点です。
これを聞くだけで、風邪の予防になっていることがわかりますよね。
反対に口呼吸にこのような働きはないので、肺が嫌がる空気を取り込んでいることになります。
健康な呼吸の量は1分間に約4~5リットルといわれています。
もちろん口呼吸の方が鼻呼吸より多くの空気を吸い込みますので、この量を簡単に超えてしまいます。
なぜ空気の吸い過ぎは良くないのかは、下の二酸化炭素(CO2)の重要性で説明します。
まとめると...
二酸化炭素(CO2)の重要性
二酸化炭素の役割
「二酸化炭素は廃棄物なので、体から除外しないといけない」
「酸素の方が二酸化炭素より重要」
とほとんどの方が思われているのではないでしょうか?
いや、普通に生活している中で、酸素や二酸化炭素の役割なんてあまり考えないですよね...。
二酸化炭素は運動したり、また新陳代謝の過程の中で生じるものなので、体の外に除外しないといけません。
なので廃棄物という呼び方は間違っていないですね。
ただ一番重要なのは、廃棄物だからといってすべての二酸化炭素を除外してはいけないということです。
なぜなら、二酸化炭素の重要な役割の一つが、
「血液内のヘモグロビンがきちんと酸素を体の細胞に送り届けることを助ける」
だからなのです。
「酸素がないと人は死ぬ」
と言いますが、言い換えると、体の隅々まで酸素がいきわたらないと、細胞のレベルで体が機能しなくなってしまうということです。
酸素(空気の約23%) ➡ 呼吸 ➡ 肺 ➡ 血液 ➡ (ヘモグロビン) ➡ 細胞
これが簡単な酸素の流れです。
注目してもらいたいのは血が赤い原因でもあるヘモグロビンです。
肺から酸素を体全体に送り、新陳代謝で生じた二酸化炭素を肺に持って帰ってきてくれます。
酸素を運んでくれるヘモグロビン。
ただ酸素は運ばれるだけではなく、細胞にきちんと届けられないと酸素が使われることはないですよね?
その役割が二酸化炭素なのです。
体の中に少量の二酸化炭素があることで、ヘモグロビンから酸素が離れる役割をしています。
血液の中にある少量の二酸化炭素が、ヘモグロビンから体の細胞へ、酸素がきちんといきわたる役割をしている。ここで口呼吸、鼻呼吸の話に戻りましょう。
口呼吸が及ぼす悪影響
鼻呼吸に比べてより多くの酸素を取り入れます。
ただ、吸い込む量が多い分、吐き出す量も多いということです。
そうすることで、体内の二酸化炭素の量が少なくなり(体に必要な量を下回る)、きちんとヘモグロビンから酸素が離れにくくなります。そうなると、どうなるのか?
二つの例を挙げます。
頭がボッーとする
朝起きた時、睡眠時間は十分にあったはずなのに、疲れが取れていない、頭がボッーとすると感じたことはないですか?
口呼吸しながら寝ていると、体内の二酸化炭素の量が絶えず不足した状態になっているため、酸素は脳にもきちんと運ばれているのですが、そこではきちんと「受け渡し」が行われていません。
上の図は脳をMRI(レントゲンみたいなものですね)で撮影したものです。
左側が鼻呼吸で脳に酸素が行き渡った状態。
右の画像が口呼吸で、酸素の量が低下した状態です。
もしあなたの脳の状態が右の様でしたら、朝起きた時、頭がすっきりしているばずがないですよね?
乾燥肌
歯科医がお肌の健康について説明する...まったく関係ないことと思われると思いますが、女性の患者さんは特にこのお話に興味を示されます。
肌は体全体を覆っている組織で、体の一番外側にあります。
そのため一番酸素が肺から届きにくいところでもあります。
口呼吸で二酸化炭素の量が減ると、肌にもきちんと酸素が行き渡らなくなりますので、乾燥肌などの原因にもなります。
肌が乾燥すると、モイスチャライザーなどを使うことが主流だと思いますが、原因が内側から生じているなら、正しい治療法にはならないですね。
まとめ
今回の記事では主に、鼻呼吸・二酸化炭素の重要性について説明しました。
口を閉じて、鼻呼吸で質の良い睡眠を十分とるための方法は、耳鼻科の先生が詳しく説明してくれるはずです。
この記事のあたまで紹介した別の記事では、口呼吸になる主な原因と対処法について詳しく解説していますので、ご参照ください。
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口呼吸から鼻呼吸に整えるような商品も、最近では売られたりもしています。
楽天で商品がチェックできます。
ただ、ほとんどの商品には
「効果には個人差があります」
と記載されています。
なぜかは、前回の記事を読まれてあなたはお分かりですよね。
鼻が詰まる理由があるということを。
例えば、アデノイドが大きい理由で口呼吸していた人が、耳鼻科の先生で手術を受けられたとします。
今まで口呼吸していた「癖」もあり、手術後すぐに鼻呼吸を始めるわけではありません。
このような場合、口に貼るテープは大活躍します。
一方、口呼吸の原因を知らず口にテープをするのは、場合によっては、鼻をつまみながら口を塞ぐ状態をつくっていることもあります。
問題には原因があり、治療・予防は原因に向けられなくてはいけません。