下の記事では、口を開けて寝ていると、きちんと顎が成長しない理由を説明しました。
それではなぜ、口を閉じて寝る、口を開けて寝るという二つの違いが生じるのでしょう?
その答えは言うまでもなく、
「鼻がつまっているから」
です。
今回の記事ではなぜ鼻がつまる(口呼吸する)かという原因4つを説明します。
「風邪をひいたら鼻がつまるじゃん」
って思ったでしょう?
もちろん風邪をひくと鼻がつまる場合もあるのですが、この状態は一時的なものなので、風邪をひいたからといって歯並びが悪くなる原因にはなりません。
それではいきましょう!!!👍
アデノイド肥大
「風邪をひいて扁桃腺が腫れる」
というのはよく耳にすると思います。
アデノイドは扁桃腺と同じリンパ組織の一つで、鼻の奥にあります。
アデノイドは3歳ごろに大きくなり、その後思春期までに縮小し、なくなります。
ただ、アデノイドが大きくなりすぎるとどうでしょう?
鼻呼吸ができなくなってしまいますよね。そうなると、口呼吸中心の生活になってしまいます。
もう一つの問題は、この状態がどれだけ続くかということです。
長くなれば、その間舌は上あごにくっついていない状態になっていますので、顎の成長が乏しくなり、歯並びが悪くなる可能性が非常に高くなります。
鼻ポリープ
ポリープと聞くと、何かのできものだなと想像はつくと思います。
鼻ポリープは鼻の内側の粘膜が炎症によって腫れて垂れ下がり、キノコ状になったものです。
原因としては、アレルギーや細菌感染によるものの可能性が高いといわれています。
鼻ポリープもよくみられる口呼吸の原因の一つです。
鼻中隔湾曲症
鼻の穴を左右に隔てている壁を鼻中隔(びちゅうかく)といいます。
この壁が強く曲がっているせいで、鼻づまりになり口呼吸の原因になってしまう状態をを鼻中隔湾曲症(びちゅうかくわんきょくしょう)といいます。
だた、どなたの鼻中隔も
「すごい真っすぐ!」
というわけではありません。
ひどく曲がっていなかったり、鼻づまりいびき、嗅覚障害といった症状が現れていなければ、鼻中隔湾曲症と診断されることはありません。
鼻甲介の腫脹
鼻の中は上で説明した鼻中隔によって左右に分けられていて、 左右それぞれには、 3つの骨が張り出しており、 上から上鼻甲介(じょうびこうかい)、 中鼻甲介(ちゅうびこうかい)、 下鼻甲介(かびこうかい)とよびます。
難しい名称はさて置き、憶えておいていただきたいのは、ただ一つ。
下鼻甲介です。
一番大きく、多くの空気に触れています。
アレルギーなどが原因で肥厚してしまった下鼻甲介は鼻づまり・口呼吸をひきおこします。
まとめ
今回の記事にどれだけ「鼻づまり」という言葉がでてきたでしょう(汗)?
鼻がつまる理由は他にもあります。
ただ、原因は何であっても、口呼吸は顔の筋肉が内側に向かって作用するようになり、幅の狭い小さな顎が生じてしまいます。
今回の記事を読み、違和感を感じられた方はいなかったですか?
そうです、鼻の中のお話を、歯科医の僕がなぜしているのか!?
例えば、アデノイドが鼻づまりを生じているということがわかっても(歯科矯正の診断に使う、セファログラムというレントゲンを見ればわかる場合があります)歯科医が薬を処方したり、手術をするわけではありません。
そこで登場するのが耳鼻科の先生です!
お薬を処方すること、手術することなど治療方法は様々ですが、歯並びの問題において大きな手助けをしてくれるはずです。
4歳の女の子を診察した時の話です。
アデノイドが大きくなり過ぎていて、鼻呼吸が困難だったため、耳鼻科の先生に安全に切除して頂きました。
するとどうでしょう。
口呼吸から鼻呼吸になり、舌が上あごにくっつき始め、顎の成長が活発になっていきました。
今回の記事から憶えておいていただきたいことは2つです。
- 理想的な歯科矯正において、耳鼻科の先生と歯科医の良い関係性は不可欠。
- 「まだ子供が小さいうちは様子をみよう」という考えは将来的に大きな問題を生むことがあります。
歯科医に限らず、なぜ今治療が必要なのか、もしくは、なぜ今治療をしない方がいいのか。
この点をきちんと自信を持って説明できる人に診察してもらう。
最後に,
「絶対に選んではいけない矯正歯科医の簡単な見分け方」
をお教えします。
特にお子さんの矯正の件で歯科医とご相談をされる時、
「先生は治療の件で耳鼻科の先生とご相談されることはありますか?」
と軽く聞いてみて下さい。
曖昧な答えが返ってきたり、耳鼻科の先生と全く連絡を取られない場合は、すぐに別の歯科医を探しましょう!