高齢者が75歳までに終えておかないといけない歯科治療、使わないといけない歯科アイテム

少し考えてみて下さい。

「最近歳をとったな~」と思われる瞬間は???

理由に個人差はあると思いますが、歯科医として働いているとよく耳にするのが、

 

ちょっと前まで時間がかかる治療もへっちゃらだったんだけどね~。

ここのクリニック来るとき、階段を上らないとダメでしょう。それが大変だわ。

 

一般的な歯科治療は年齢を問わず大きな違いはないのですが、高齢者になると歯科治療を受けるうえで、いろいろなハードルが増えていきます。

結論から言います。

この問題の解消方法は、ご自分が高齢者になる前に、歯科治療が必要のない口の状態をつくっておけばいいのです。

歳を重ねるということは、どなたも避けることはできません。

ご存じの方も多いと思いますが、高齢者の全人口に占める割合は年々増加しています。厚生労働省の調査によると、75歳以上の高齢者人口の割合が2012年では11.8%に対し、2025年には18.1%に達すると言われています。

この記事では75歳までに終えておかないといけな歯科治療、絶対に使っておかなくてはいけない歯科アイテムを説明します。

WHO(世界保健機関)がまとめたSEA(South East Asia)での、

「人は何歳まで健康でいられるか」

を表したものです。「Average HALE(健康な高齢者の平均年齢)」を過ぎると、いろいろな面で日常に問題が生じるということが分かっています。

これが75歳までに必要な歯科治療を終えておかないといけない理由です。

 

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歯の根の表面を守る!守る!!守る!!!

画像出典:Tam Dental Group

Drこん

理由を聞かずに、露出された可哀そうな歯の根を守ってあげてください!

助手のサクラ

理由を聞かずにって...(汗)。

でもほんとうに高齢者の方の診察の時によく診ますよね、色が違う歯の根っこがむき出しになっているの。

Drこん

歯の根はセメント質といってエナメル質で覆われていないから色が違うんだね。問題は酸にすごく弱くて虫歯になりやすいってことだね。

 

画像出典:ToothSay

助手のサクラ

あっ、綺麗になりましたね!

Drこん

こうやってフッ素の多く含まれた詰め物で歯の根を守ってあげないと、60%以上の確率で虫歯になるって言われてるんだよ。

それに詰め物をした後の方が断然歯が磨きやすくなるからね!

助手のサクラ

歯茎が下がっちゃう理由は私が説明してもいいですか?

Drこん

どうぞ、どうぞ。

助手のサクラ

主に、歯周病、力を入れて歯を磨き過ぎているということがあげられます。

Drこん

歯の根の問題については下の記事でも解説していますので、参考にしてみて下さい。

歯科医が厳選!急な歯の痛みの原因と対処法【虫歯と思うのはまだ早い!?】
定期検診を受けていても、いつ始まるか分からない急な歯の痛み。その原因と対処法を詳しく説明します。明日から旅行に行かれるあなた、すぐに歯医者に行けないあなたに、この記事は必見です!

歯として機能しなくなった根っこを守る!守る!!守る!!!

Drこん

上のように割れてしまった歯は、残念ながら歯としては機能しません。

助手のサクラ

でも先生、高齢の患者さんの中には、ずっとこのままにしているのに痛みは全くないとおっしゃられる方いますよね?

Drこん

そうだね。治療できない状態になってしまったとしても、根っこが化膿していない限り痛みがないことはよくあるね。

助手のサクラ

でも先生、このままにしておくより、抜歯したほうがいいんじゃないんですか?いつ痛くなるか分からないし...

Drこん

一つの治療オプションとしてはサクラ君の言うとおりだね。

ただ根っこが化膿していない場合、抜歯をしないメリットもあるんだ。

1.歯を支える骨が維持されるため、歯茎が下がりにくくなる・やせにく  くなる(入れ歯を使われている方に大きなメリット!)
2.その部分で物を噛んだ時の感覚が残る
3.抜歯をしないということは、治療の身体への負担が小さくなる

画像出典:GC

助手のサクラ

あっ、また綺麗になりましたね。

Drこん

フッ素が多く含まれた詰め物などを使うことで、歯が磨きやすくなります。

助手のサクラ

そうすれば歯の寿命も延びますね!

 

シーラントをする

画像出典:BDJ

助手のサクラ

さっきの患者さんも虫歯があるかもって心配されて来られて、診てみたら歯の溝にシミが溜まってたんですよね

Drこん

痛みと同じぐらい、よく患者さんが虫歯かもって思う理由だね。

助手のサクラ

このシミって虫歯かどうかは簡単に分からないものなんですか?

Drこん

凄く良い質問だね!レントゲンで調べてみる方法もあるんだけど、小さな虫歯はレントゲンでははっきり見えない場合が多いんだ。

助手のサクラ

じゃあどうしたらいいんですか?

画像出典:Complete dental care

助手のサクラ

あっ、またまた綺麗になりましたね!

Drこん

これはシーラントっていう歯の溝を埋める予防治療なんだよ。

助手のサクラ

シミが溜まってるってことは、歯磨きではきちんと掃除できてないってことですもんね!

Drこん

そうだね!それにこうすることで、食べカスや汚れが溝に入らなくなるから虫歯防止になるね。

助手のサクラ

質問なんですけど、シミの下に虫歯が隠れているとして、その上からシーラントを付けちゃっていいんですか?

Drこん

またまた良い質問だね!

良い治療方法としては、シミをきちんと除去してからシーラントをしたほうが安全だね。

 

古くなった詰め物を新しいものと取り換える

画像出典:Dentistry33

画像出典:Dentistry today

Drこん

上の画像を見て下さい。

何が問題なのかは一目瞭然ですよね。

助手のサクラ

先生が口腔内カメラを使って、初めて気付かれる患者さん多いですよね。

「私の口の中、こんなことになってたの!」って。

Drこん

「何年前に詰めたから取り換える」ではなくて、詰め物を取り換えるにはこのような理由があります。

助手のサクラ

やっぱり先生、放っておくと良くないですよね。

Drこん

そうだね。一番の問題は虫歯がすでにできている、なりやすくなるということ。一日でも早く詰め替えることをお勧めします。

助手のサクラ

こうやって口の中の画像を見せられると、早く治療しないといけないな~って思います。

 

Tooth Mousse Plus (トゥースムースプラス)を歯磨きの後に必ず使う

画像出典:GC

助手のサクラ

美味しいフレーバーのペーストですね!

Drこん

歯磨き粉って呼ばなかったのはすごい!そう、これは歯の汚れを落とす研磨剤は含まれていないんだね。っということは...

助手のサクラ

フッ素と研磨剤が含まれた歯磨き粉でブラッシングした後にTooth Mousse Plusを使うってことですね!

Drこん

そ。。。その通り

助手のサクラ

Tooth Mousse Plusにはこんな効果があります

1.歯の原料になるミネラル(カルシウム・リン)が豊富
2.CPP-ACP(リカルデント)が酸性に傾いた口腔内を中性に戻し、酸性  の状態になりにくくする
3.フッ素も含まれている
4.牛乳由来成分(カゼイン)及びパラベンが含まれているので、牛乳・  乳酸品アレルギーの方は使用できません。

 

Drこん

使い方はこんな感じです。

画像出典:GC

1.フッ素入りの歯磨き粉で歯磨きをする
2.Tooth Mousse Plusを1cmほど指か歯ブラシに取り出し、歯の表面   全体に行き渡るようにする
3.舌を使いもう一度歯の表面全体に行き渡るようにする
4.塗布後、最低3分間は唾液を吐き出さず、そのままにしておく
5.3分が経過したら、唾液を軽く吐き出し終了。その後最低30分は飲食  を控える

Drこん

酸にすごく弱い歯の根を守るためには最適です。

助手のサクラ

あっ、先生!気付いちゃったんですけど、日本で販売されているのは名前がちょっと違うんですね。

画像出典:ndc dental clinic

Drこん

そうだね。それともう一つ何か気付かない?

助手のサクラ

あっ、「Plus」っていう記載がないですね

Drこん

その通り!日本で販売されているものには一般的にフッ素が含まれていないので、「Plus」ではないんだね。日本では認可がまだおりていないとネットには書いてあったよ。

助手のサクラ

フッ素が含まれてた方がお得感があるけど、フッ素が含まれた歯磨き粉でブラッシングした後にMI Pasteを使うんだから問題ないですよね。

Drこん

オーストラリアで購入するならTooth Mousse Plus,

日本でならMI Pasteだね。

助手のサクラ

ちなみに「MI」はMinimum Intervention (最小の侵襲)を省略したものです。治療より予防が大切ってことですね。

まとめ

日本のGCという会社が作ったポスターを歯科クリニックではよく目にします。

画像出典:GC

 

「スープかステーキか?」

そうです。歯が健康でなければ、食べたいものが将来高齢者になられたときに食べられないということです。

歯の治療のオプションとして抜歯以外の選択肢がないと説明すると、ほとんどの患者さんは

「もっと前から口のケアをきちんとしておけばよかった...」と、後悔される方が多いです。

予防を始めるのに、遅すぎるということはありません。

今回の記事を読まれて、

「75歳までまだまだ時間がある」と勘違いされないようにお願いいたします。